前回と前々回で、機能的価値と情緒的価値についてお伝えしました。

機能的価値は、わかりやすく言えば、

第三者が求めているニーズです。

機能的、ですから、

性能、価格、わかりやすい、シンプル

いろんな機能がある、みたいなものです。

教えることであれば、教科書になるような話題ですね。

なんにしても具体的な問題解決手段

と思ってもらっても大丈夫です。

一方で情緒的価値は、

その人らしさ、人柄、理念、考え方など

そういう部分に関係してきます。

そういう意味では、

一番わかりづらい部分ではありますが、

もっとも大事な部分でもあります。

機能的価値と情緒的価値は

具体と抽象の関連性によく似ています。

機能的価値は、具体的です。

こんなことに困っているんだ

こうすれば解決できるんだ

これはこんな性能なんだ

など、誰が見ても、それが自分に関係するのか？がわかりますし、

たとえわからなくても、ちょっと説明されたり、

使うことができれば、理解できるでしょう。

クリエイターで言えば、

「制作スキル」がまさに機能的で具体的です。

ですから、例えば僕が動画の制作講座を

やるなら、具体的なソフトを使って

どんな風に動画を作るのか？

を解説することが、機能的価値となります。

一方で、情緒的価値というと、すごく抽象的です。

ですから、これはすごくすごくわかりづらいものです。

例えば、大きな理念を持っている人が

その人を見ただけでは理解はできません。

丁寧に説明してもらう必要がありますし、

もっと言えば、その人の行動で

それを証明してもらうことでしか

その人の理念を理解することはできなかったりします。

そんな機能的価値と情緒的価値ですが、

人と信頼関係を築くためには

機能的価値だけでは無理があります。

これは製品を事例に出せばわかりやすいでしょう。

ある製品を購入したとして、

それを「すごくいいなぁ」と思ったとしても

開発者との信頼関係は構築されません。

例えば、インスタント食品のどん兵衛を

好きだからといって毎日買って食べていたとしても

どん兵衛の開発者との信頼関係は皆無です。

意識すらしないでしょう。

どん兵衛の美味しさの実績は感じてるので

購入し続けるかもしれませんが、開発者と会っても、

「あぁ開発者さんですか！」

と尊敬の眼差しで見るかもしれませんが、

人として信頼できるか？というと

きっと違うはずです。

とはいえ、ある分野にのみ信頼は置けるでしょう。

「インスタント食品」

という分野において。

しかしそれ以外は基本的に皆無のはずです。

では「情緒的価値」

つまり人柄や理念、考え方などはどうでしょう。

尊敬している先輩からの意見なら

基本的には信頼するでしょう。

それが別の分野だったとしても

自分よりも詳しかったら、それだけで

少しフィルターがかかるものです。

これは機能的価値なんかよりも

ずっと広い範囲で有効になってくるはずです。

機能的価値というのは

結局、その分野における信頼度合いを

高めるための一種のツールみたいなものです。

しかし、単純にわかりやすく

目に止まりやすく

誰のためなのか？が

はっきりします。

一方で、情緒的価値はわかりづらく

目に止まりづらく、誰のためなのか？が

いまいちはっきりしなかったりします。

この２つの関係性をしっかりと理解した上で、

情報を僕らは必要な分だけ

提示していく必要があります。

ただ相手のニーズに沿うためにだけ

機能的価値ばかりを提供しても

「その分野に詳しい人」

という認識にしかなりません。

しかしその中で自分らしさ

自分の考え方、理念、喋り方、癖など

変に作らない感じで表現することができれば、

そこにはその人だけの

“世界観”

が生まれます。

資本主義で機械という製品ばかりに

目がいくと、どうしても情緒的価値というものは

おろそかにされてしまいます。

ですが、本来ここに最も大事な要素が

入っています。

残念ながら、資本主義では

情緒的価値を数値化することがすごく難しいので、

多くの場合、「一般的な値付け」には含めず

無視してることがほとんどです。

同じサービスでも

店員さんで値段が変わることがないのは

それが理由です。

本来は情緒的価値は

値付けされる必要があります。

ただそんなことをやっていては

管理や評価も大変ですから、

基本的には

製品、サービス単位で値段が設定されているのです。

これが市場価格です。

誰がやっても同じ品質のサービスを受けられるように。

しかしそれがアートや職人、ブランドなど

"ある人が作った特定の何か”

であるだけで、

市場価格とかけ離れた値段設定が成立します。

それこそが、情緒的価値であり

独自の信頼関係を築くために

必要なスパイスです。

そしてこれを僕らは本当は

考慮に入れていく必要があります。

ビジネスの初心者は

つい自分がやりたいことをやってしまうために

情緒的価値ばかりを追求するような

情報発信をしがちです。

自分はこんなことを考えているんだ

自分はこういう空気感なんだ

といった具合に。

これはこれで良いことです。

ですが、第三者と接点を持つためには

わかりやすくしていく必要がありますし、

相手が知りたがっていることを

実施していく必要があります。

だから、機能的価値を一旦、全面に押し出し

そのあとで、情緒的価値の割合を増やしていく

という流れにシフトしていく必要があります。

ぜひ、この２つのバランスを考えて

相手との関係性を考えてみてください。

きっとここに何か大きなヒントが隠されているはずです。

PS：せっかくなので

機能的価値と情緒的価値の関連する事項を箇条書きしてみます。

ヒントになるはずです。

機能的価値/情緒的価値

具体/抽象

わかりやすい/わかりづらい

表面的/本質的

値段は安め/値段は高め

テンプレート/オーダーメイド

What/Why

行動的/思考的

広い/狭い

浅い/深い

4-6：抽象と具体と情緒と機能