全部で36のチェック項目があります。
ぜひこれを１つ１つチェックしていきましょう。

では、今回は、

それぞれ9つのブロックについて、
解説を加えていきます。

１：顧客

では、まずは顧客のブロックからいきましょう
ここでは３つのチェック項目です。

□ 人口トレンド
□ 顧客人口の減少
□ 需要の減少

この項目を見ればわかるかと思いますが、
機能での観点よりもやや広い視点での
チェックです。

これは市場と言い換えても構いません。

つまり、今自分が提供しているサービスが、
そもそもどういうトレンドにいて、
どういう市場規模の上で成り立っているのか？
を捉えておくことが脅威を
最小化するためのヒントです。

人口トレンドもそうですし、
顧客人口の減少や需要の減少は
避けることができない要因です。

例えば、今でいえば、
AIが急激に進歩している時期ですし、
もっと言えば、これからWEB3と呼ばれる
技術もどんどん整備されています。

そうなれば、WEBデザイナーという定義も
おそらく大きく変わってくるでしょう。

WEBサイトそのものがなくなる
ということはないでしょうが、
メタバース空間でのバーチャルな場所が
主流になるのであれば、
WEBデザイナーの仕事も
範囲も大きく変わるかもしれません。

あるいは、全く別の名称のデザイナーが
生まれる可能性もあります。

顧客のニーズは、
技術とともに変化していきますし、
社会も技術によって変容していきます。

目の前の顧客を意識しておくことも重要ですが、
今後、どのように社会が変わり、
ニーズが変化していくかを捉えつつ、
顧客と向き合うことが重要です。

２：初回接触

初回接触のブロックでは
5つのチェック項目があります。

□ 競合他社の台頭
□ 競合の新規参入（ブラックシップ）
□ 間接的な競合の台頭
□ 初回購買時の疑いが払拭できない
□ 検索エンジン表示順位の下落、
　SNSのフォロワー離れ、広告の出稿度合いの変化

ビジネスは競争ですがら、
競合他社が成長してくること、
新規参入といったものや、
直接関係のなかったものが、
実は競合となることも十分にあり得ます。

例えば、
情報発信をしている人にとって、
直接的な競合他社は、
同業者の情報発信をしている人たちですが、
少し広く見れば、
アニメや漫画といったエンタメも競合です。

どれだけ自分の情報に
意識を向けてもらえるか？
という観点で言えば、
ありとあらゆるもの、つまり
生活に必要のないもの以外は
全て競合になり得るとも言えるのです。

人が"あること"に意識を向けられる
時間は限られています。

最近、ながら作業は当たり前になりましたが、
それでもそこに限界があります。

本を読みながら、アニメを見る、
なんていうことは難しいわけですし、

車を運転しながら、音楽を聴くことはできても、
車を運転しながら音楽も聴きつつ、
音声学習をする、なんてことは無理なわけです。

そういう意味では、直接的な競合もそうですが、
間接的な競合にも意識を向けていく必要が
あります。

また検索などのSEOに頼った初回接触だとすれば、
検索プラットフォームの仕様変更による順位変動、

SNSの仕様変更による投稿制限、
広告仕様が変更されたことによる
出稿先の影響度合いの変化、
といった、ことも脅威の１つです。

検索エンジンに関しては、
今はGoogleが首位を取っていますが、
AI時代になれば、検索そのものの在り方も
変わってくるでしょうし、
SNSも常に同じSNSプラットフォームが
残り続ける、なんてことはあり得ないでしょう。

Meta社のFacebookもユーザーは
高年齢化していますし、
若年層向けのプラットフォームは
都度新しいものが生まれています。

広告においても、
最近はAIによる広告運用が
当たり前になっていますが、
提供側の仕様変更により、
急に反応が悪くなったり、
これまでの設定ではうまくいかなくなる、
なんてことも起きうるのです。

プライバシーの観点で、
広告が取得できる情報が制限されたことで、
最適化しづらい、みたいなことも
平気で起きてきます。

技術が進歩すれば、
プラットフォーム側のサービスが充実したり、
機能変更が起きたりするのは当たり前です。

また人の意識によって
これまで当たり前にできてたことが、
法整備によって急にできなくなる、
なんてことは多々あることです。

それによって、顧客の生活スタイルも
少しずつ変わり、ユーザーの意識も変わっていき、
社会も変わっていきます。

そういう意味で、
常にテクノロジーの動向を
追っておくことがとても重要です。

３：商品（ファネル）

続いて、商品のチェック項目です。

こちらは3つです。

□ 代替品・サービスの出現
□ ライフサイクルの終焉
□ 天災

初回接触の項目に近いものがありますが、
代替品、大体サービスが生まれることは
脅威として考えやすいですよね。

クリエイターであれば、
ツールがイメージしやすいかもしれません。

動画編集ソフトでいえば、
以前はPremiereProかFinal CutかEDIUSか
みたいな感じが、
気づけば、PremiereProか
Davinci Resolveか、みたいな、
全然違う使いやすいサービスが
選択肢として存在している、
みたいな感じです。

無料画像制作ツールだと、

GIMPが今やCanvaが主流みたいな感じでしょうか

また商品で言えば、
ライフサイクルというものが必ずあります。

ライフサイクルが終わってしまえば、
また新たに購入するか、
別の商品へ移行するか、
と選択肢が現れます。

終了時期というのは、
別の選択肢を選択できる可能性を
増やす良いタイミングです。

一見良いことのようにも思えますが、
事業をやっているものとしては
リピートしてほしいと思うものです。

ですから、いかに継続してもらうか？
こういう脅威をなるべく
小さくしておくことが大事です。

あとは・天災ですね。
災害時、どうしてもサービスが止まってしまう、
なんてことはあり得ます。
しかしそういう時こそ、
磐石なシステムなら、
顧客離れを防ぐ脅威を
小さくすることが可能です。

４：販売方法

４つ目の販売方法のチェック項目は４つです。

□ フリーミアムの出現
□ スイッチング・コスト
□ サーバーの破壊、決済システムのトラブル
□ クレームの炎上

フリーミアムという単語は
聞いたことがあるでしょう。
そう、無料で手に入る商品・サービスです。

もしあなたの主力製品が、
無料のサービスで競合他社から始まったら、
どうでしょうか？

これはものすごいインパクトですし、
自社からしたら溜まったもんじゃないはずです。

今の世の中、いろんなものが
無料で手に入る時代だからこそ、
こういう脅威にも対抗できる手段を
持っておくことは重要です。

ちなみに、
「WEBサイトを¥100で作りますよ」
というオファーを投げている人を
異業種交流会で見かけたデザイナーが

「そんなことされたら、
　溜まったもんじゃないし、
　でもどうしたらいいかわからなかった。」

と嘆いてた方が相談に来たことがあります。

それほど、競合には
やってほしくないことなのです。

さぁあなたの主力製品が
競合で無料で行われたとすれば、
あなたはどうしましょう？

またスイッチングコストは、
競合からサービスを移行してもらうための
立派な脅威です。

これはスマホなどが
わかりやすい事例でしょう。

契約するのも面倒、
結構長く使っているし、
電波も悪くないし、値段も手頃。

メーカーはどこでもいいけど、
今のところで十分。

そんなふうに思っている顧客に
どのように提案すれば、
商品を販売することができるのでしょうか？

ここに関係してくるのが
スイッチングコストです。

どれだけ解約しづらいか？
スイッチするのにハードルが高いか？

そういう工夫をしている
サービスも見受けられます。

さらに、サーバーの破壊は
デジタルコンテンツの場合、
直接的に販売に影響するわかりやすい脅威です。

今の世の中は、かなりオンラインでの販売が
増えましたから、無視できない部分です。

決済システムのトラブルも影響するでしょう。

昨今、オンラインで個人でも
ビジネスが始めやすくなった背景から、
決済システムを提供している会社は、
審査をどんどん厳しくしています。

それによってこれまで決済できていたサービスが
新たに審査が入ってNGを食らった
ということもあるかもしれませんし、
決済システム側から不正判定をされて、
売り上げは上がったのに、
自身の口座には入金されない、
みたいなこともあったりします。
（例のPaypalです）

チェック項目の4つめの
クレーム炎上も販売においては脅威です。

クレームを見た人のイメージが
悪くなってしまえば、
どんなに良い商品でも販売しづらくなるのは
目に見えています。

５：収益モデル

収益モデルの脅威は5つのチェックです。

□ 価格競争の勃発
□ 顧客の流出
□ 大口顧客の不払い・倒産
□ 無言のクレーム（物言わぬ不満）
□ 消費税率のアップ（強制内税化）

価格競争は立派な脅威でしょう。
先ほど出した競合他社のフリーミアム戦略で、
値段を落とさざる得ない状況になってしまえば、
その瞬間、利益が出なくなってしまう
ビジネスも多々あるでしょう。

また顧客の流出や大口顧客が
倒産してしまったり、
不払いなんてことが起きれば、
大ダメージを受けるのも想像しやすいでしょう。

もしあなたに仕事を依頼する会社が
たった1社しかおらず、
そこが何かのトラブルで倒産してしまったら
どうでしょうか。

たったそれだけで、
あなたの収益は0になってしまうわけです。

６：リソース

リソースでは、４つのチェック項目です。

□ 新技術・新規格の登場
□ 原料の増減・消滅・高騰
□ 規制・法律の施行
□ 仕入れコストの増大

項目を見ればすぐに
イメージできるものばかりですね。
新技術の登場によって、サービスが生まれたり、
無くなったりすることはよくあることです。

最近ではAIの技術進歩によって、
知ってるだけで、すぐできるように
なったことも増えています。

例えば、テキストから画像生成が
簡単になった世の中ですから、
それをうまく活用して、ロゴを生成する
なんてこともできる時代です。

方法論としてわかっていれば、
すぐに導入すれば、自社としても
優位に立つことはできますが、

逆に知らないままでいれば、
競合が新技術を取り入れることで、

ロゴのアイデアを何十個も
しかもたった1時間で出してくる、
みたいなことをしてくるかもしれません。

一方でこちらは3つのアイデアを
1週間かけて提示する、みたいな
感じだとすれば、
顧客はどう感じるでしょうか。

こんな風に、技術的なりソースを
うまく活用されるだけで
脅威になったりすることはあるのです。

また技術に限らず、仕入れコストの増大や
原材料の高騰や増減は影響するサービスを
行っているのであれば、簡単に起きうることです。

この辺りは自社のサービスが
一体どんな会社と繋がりを持っていて、
また社会とどのような接点で成り立っているのか？
に依存します。

クリエイターであれば、
原材料はあまり関係がありませんが、

写真素材をプロのカメラマンに撮ってもらう、
みたいなことであれば、
その費用次第で影響を受けますし、
素材を買ってくる場合でも、
素材サイトの販売価格に依存します。

これも技術の進歩によって
サービス体系が変わったり、
料金体系が変わったりしますから、
常に同じ、ということはないでしょう。

もちろん、規制関係、法律関係も
見逃してはいけません。

７：パートナー

パートナーのブロックでは
3つのチェック項目です。

□ 取引感情の悪化
□ 無料サービスの廃止及び変更
□ パートナーの撤退・倒産

特にパートナーというのは
人が直接的に影響しますから、
取引相手の感情がどうなっているのか？は
とても重要です。

何かのトラブルで関係が悪くなってしまえば、
それだけであなたのサービスにおいては
パートナーが脅威になってきます。

また関係が悪くなくとも、倒産したり、
サービスから撤退してしまう、
なんてこともあり得ます。

クリエイターだとあまりイメージが
湧かないかもしれませんが、
実は十分あり得るんです。

例えば、同じプロジェクトで、
仕事を依頼していたパートナーのコーダーさんが
急に体調を悪くして１週間入院してしまった、
みたいなことも脅威ですよね。

納期までに時間がないのに、
突然連絡が取れなくなった、みたいなことも
実はクリエイターとして仕事をしていると、
時々あったりします。

僕も何度かそういう事態に
遭遇をしたことがありますし、
ビジネスをやっている知り合いから
そういう話を聞いたことがあります。

例えば、とあるアニメのMVで
同じセクションで仕事をしていて、
プロデューサーさんから

「ちょっと〇〇さんと
　連絡が取れなくなってしまって、
　このカット対応可能でしょうか？」

なんてことも、経験あります。

え？そんなことあるんですか？

と思うかもしれませんが、
フリーランスで仕事をしていると、
一定数連絡を取れなくなる人というのは
いたりします。

８：オペレーション

オペレーションでチェックする項目は6つです。

□ 社内感情の悪化
□ オペレーションコストの増大
□ 従業員レベルの低下・疲弊
□ キーとなる従業員の離職
□ ウィルス・ハッキング・情報流出
□ オペレーションのバッファー０

オペレーションとはどう仕事を回すか、
ですが、ここのコストが大きくなってしまうと
ビジネスは途端に困ってしまいます。

またオペレーションの中心人物となる
従業員の士気が下がってしまったり、
離職してしまったり、
引き継ぎがうまくいかないことで、
オペレーションが機能しなくなる、
ということも脅威のうちです。

この辺りは、会社勤めしている人は
理解しやすいでしょう。

また余裕のないオペレーションは
脅威そのものです。

もしキーマンとなる従業員が
風邪で休んでしまったら、
余裕のないオペレーションは
その時点で、破綻です。

余裕を持って仕事に取り組めるような
状況がベストです。

９：コスト構造

最後にコスト構造のチェック項目です。

□ １円以上の未払いの発生
□ 見栄による消費
□ 月次入金額＜月次出金額

当たり前ですが、未払いの発生は脅威です。
ある程度、収益化が進んでくると、
一定数未払いが増えてくるものです。

当たり前です。
関わる人数が増えれば、
払えない人、払わない人はいるものです。

そして、収益化ができていてば、
まぁそれくらいはいいだろう、
と放置する部分でもあります。

しかしここもやはり脅威ですから、
きちんと対応するようにしましょう。

なぜ未払いが起きるのか？
ここを放置してしまうと、
拡大すればするほど、
バケツの穴もまた開きますし、
ここから収益の脅威が始まるものです。

また見えによる消費もビジネス上の
脅威になります。

コストとは不要部分は極力減らすべきです。
必要なコストまで減らす必要はありませんし、
それが適切な投資になっているのであれば
良いのですが、見栄というのは

クリエイターではあまりいない気がしますが、
見栄のために、高い高級車を社用車にして、
余計な経費としている、みたいな感じです。

プライベートならまだしも、
それこそビジネスにおいて関係がない部分です。

ということで、いかがでしょうか。

ABCブロックを脅威の観点で
チェックする内容でした。

#B-032：どうすれば「起きうる脅威を限りなく最小化される」のか？