どうも、内藤です。

今回の話は商品サービス、
あるいはあなたの活動の背骨を
表現するものです。

これがはっきりと決まっていると、
商品・サービス開発が
ものすごくやりやすくなります。

なぜこれを真っ先に
決めなかったんだろう、
と思うはずですし、
もし何かに迷うことがあったとしても、
ここに立ち戻れば、
正しい道に戻ることができます。

それだけ商品開発や
日々の活動の基準になるものですし、
これができることが、
差別化戦略をよりやりやすくするものです。

さぁ準備はいいですか？

始めていきましょう。

#B-024：数ある競合の中で
その商品だけを選ばせられないか？：その２

数ある競合の中で
その商品だけを選ばせられないか？
という難問のクイズに答えるための、
４つの手がかかりのうち、２つ目です。

今回の手がかりはコンセプトです。

コンセプトとは、
概念という意味です。

概念とは、
物事の本質（再現性）を失わず、
できるだけ短い文章で表すことを指します。

と、こんなことを言われても、
ピンとこないでしょうし、
一体何のことをさすのか？
がイメージがつきませんよね。

そこで今回は、
商品開発・サービス開発で
より扱いやすい4つの表現について
お伝えするとともに、
コンセプトとは何なのか？
という話の触りについてご紹介します。

コンセプトとは何か？

商品・サービスの本質を失わず、
短い文章で表すことです。

もう少し言えば、
母国語の20字以内で表現されると望ましい
と言われます。

なぜ母国語なのか？
それは、コンセプトというのは
本来、開発する側の人たちだけで
共有されるもので、

そのチーム内で、確実に
共有されているのであれば、
問題がありません。

昨今はチーム内に、
別の国の人がいることもありますから、
その場合はメンバーに合わせて、
翻訳される必要はあります。

以前、言葉の定義でもお伝えしたように、
言葉というのはきちんと定義するえば、
綺麗に一本線が引けるものですから、
物差しのように扱って、
どんな時でも意味が変わらないことが重要です。

意味が変わらないからこそ、
ブレずに、いつでも困った時に
立ち戻ることができるんです。

ですから、プレゼンをする場合
コンセプトには3つの条件があるとされます。

１：覚えやすい
簡単に覚えられ、いつでもどこでも思い出せる
２：伝わりやすい
人々の間で流通しやすいこと
３：変わらない
数多くのコミュニケーションを通しても、
形が変わらないこと

これらを満たすものを考えようと思えば、
どうしても母国語で、
しかも20字以内が望ましいのです。

そんなコンセプトですが、
コンセプトというのは、
あなた自身の活動理由でもあり、
世界をよくする方法でなければいけません。

コンセプトとは、
ものづくりの中にある、と言われます。

ここでいう「ものづくり」とは、
良いものを作る、ことをさすわけですが、
良いものを作ることで、
結果的に世界がよくなっていかな変えれば、
わざわざ作る意味がありません。

これはあなたの
モチベーションに大きく関わる部分です。

やっていて自分にとって
意味があることでなければ、
その行為はどこかで
急にやめてしまうかもしれませんし、

やり続けていけばいくほど、
自分の現実がどんどん歪んでいく
ようなものであれば、
到底長続きなんかしませんよね。

また世界が良くなっているという
感じがあるからこそ、やればやるほど
自分の中にやりがいを見出せるものです。

だからコンセプトには次の2つが前提です。

・あなたが心の底から同意し、それを行えば、
　幸せになれると信じていること
・あなたやあなたの会社が生きていけること
（お金が手に入ること、永続的であること）

いきなり難しいことを言うな、
と思うかもしれませんが、
コンセプトというのは
それだけ重要なものですし、
コンセプトがあるからこそ、

その商品やサービスの背骨を
きちんと捉えることができます。

逆に言えば、このコンセプトさえ
取り出せてしまえば
あとはコンセプトに沿って、
ものづくりをやっていけば良いだけなのです。

そういう意味で、
コンセプトとは迷った時の道標
とも言えるでしょう。

さも簡単にできるように
読めるかもしれませんが、
コンセプトというのは取り出すのが
とても難儀なものです。

一度でも経験したことがあれば、
その難しさ、は理解できるはずです。

今回は、コンセプトメイキングの
話ではありませんが、
コンセプトとはなんたるか？が
断片的にでも伝われば良いかなと思っています。

コンセプトとは答えであり、
商品サービスはクイズである

以前、コンセプトメイキングの方法論を、
任天堂のWiiを作った
玉樹真一郎さんに話を伺ったときに
言われた言葉が、

「コンセプトとは答えであり、
商品サービスはクイズである」

という言葉でした。

例えば、任天堂にはWiiという
一風変わったゲーム機があります。

このWiiにはいろんなゲームがあります。

マリオというビックタイトルもありますし、
スポーツを楽しむものもあれば、
ダイエットといった、これまでのゲームとは
言わないようなものまで揃っています。

先ほどの言葉を借りるのであれば、

Wiiというゲーム機にとって、
ゲーム機そのものがクイズです。

このゲーム機では一体何を伝えたいのでしょうか？
あるいはこのゲーム機では一体どんなことを
コンセプトにしているのでしょうか。

これをユーザーは、無自覚に、
Wiiというゲーム機を使って、
いろんなゲームを始めます。

広告でキャッチコピーやコンセプトの
文言を見かけるかもしれませんが、
顧客に意識があるのは初めだけです。

そして、揃えられたゲームをやりながら、
Wiiというゲーム機を日々使いながら、
Wiiというゲーム機を理解していきます。

ゲームをクリアし、Wiiを普段使いして
ユーザーはこのWiiというゲーム機に
持った印象こそが、コンセプトという答えです。

つまり、Wiiというゲーム機は何なのか？
これをユーザーは、言葉というコンセプトから
理解するのではなく、商品サービスから体験して理解していきます。

このWiiのコンセプトは、
「お母さんに嫌われないゲーム機」だそうです。

つまり、家族の誰も敵にしない、
新しいゲーム機のあり方を模索した結果、
これまでとは違うゲームコントローラーや
ゲームタイトル、各種サービスにつながっています。

任天堂では、
「Wiiのある新しい生活」を
提案しているのもそのためです。

Wiiというゲーム機を家に招き入れて、
結果的にユーザーが狙い通りの
コンセプトにたどり着けば、
その商品サービスはコンセプト通りに設計された、
と言えるんです。

そう、
商品サービスが正しく開発されたかどうかは、
顧客の反応を見ればわかるんです。

昔のゲーム機、スーパーファミコンとかは、
我が家ではゲームが終われば
押し入れにしまわれていました。

ゲームをやるときにだけわざわざ出してくる。
母親がやっているイメージはありませんし、
家族全員がゲームをやるというイメージはありませんでした。

Wiiを使っている家庭では、
どんなやりとりがされるんでしょうか。

「これだったら、お母さんも遊べるね！」
「あれ、お母さん、Wiiやってたの？」
こんなやりとりがあったら大成功ですし、
家庭内でWiiを普段使いしているのであれば、
開発者冥利でしょう。

僕はWiiというゲーム機を持っていませんが、
任天堂の当時のあのWiiのヒットを見る限り、
コンセプト通りの商品サービスが
開発されたのは間違いないでしょう。

この話を読んで、
任天堂という大手のサービスだからこそ、
うまくいったんだろう、みたいな発想を
するのであれば、
それはちょっと僕は違うのと思うのです。

大手であれ、個人であれ、
基本的にコンセプトと商品サービスというのは
密接な関係を持っていて、
本来コンセプトとは
商品サービスがブレないために
生み出されるものです。

僕も色々商品開発をやってきていますが、
コンセプトがなければ
うまくいきませんでした。

思いつきの商品・サービスほど、
結果的に何も伝わらず、顧客に受け入れられない、
なんてことはよくありますし、
僕もそれでよく失敗しています。

だからこそ、
多くの人に届けようと思うのであれば、
なおのことコンセプトを取り出すことが

「数ある競合の中で
　その商品だけを選ばせられないか？」

というクイズの難問をとく手がかりになるんです。

さぁ、あなたの商品・サービスは、
きちんとコンセプトという答えを導き出せる
作り込まれたクイズになっているでしょうか？

その商品やサービスを受けて、
利用されることで、答えに辿り着くように
なっているでしょうか？

ぜひ考えてみましょう。

さぁここまでは前段です。

コンセプトがなんたるか？というのは
少しでも伝わったと思いますので、
ここからは少し切り口を
変えて話をしていきましょう。

やっぱりなるべく楽に
コンセプトを取り出せると
良いですよね。

コンセプトを取り出すには
適切な順序がありますが、
今回はそれを少し端折って、
テクニック的なものに触れていきます。

「コンセプト」から生まれる商品は
この4つに分けて考えると、扱いやすいものです。

4つとは、
「○○になれる」商品
「○○ができる」商品
「○○がわかる」商品
「○○が手に入る」商品

です。

お客さんというのは、いつでも

「それを買うとどうなれるの？」
「これを買うと何ができるようになるの？」

という問いを持って、商品を見ています。

セールスレターであれ、
直接のセールストークであっても、
何をいっているのか、わからない
では、意味がありません。

まず、一言で
「それはどんなものなのか？」
を言える必要があります。

本来コンセプトとは、
開発者側が認知できていれば良いものですが、
これをユーザーに伝えても問題はありません。

最近は意図的にコンセプトを提示するところが
増えている印象です。

しかし事前に伝えることが重要ではなく、
それよりも大事なことは、
先ほどから書いているように
その答え（コンセプト）に辿り着けるような
クイズに商品サービスが設計されているのか？です。

そうなっていないのであれば、
言っていることと違うじゃないか、
という話になってしまいます。

わざわざそんなことを言ってくれる
人は少ないかもしれません。

コンセプトを取り出して、
コンセプトの通りに商品・サービスが
開発されていないのであれば、
そのコンセプトは絵に描いた餅になってしまいます。

そうならないためにも、
まず提供する側が、商品・サービスについて
理解していく努力が何よりも重要です。

提供側が理解していないのに、
受け取る側が理解する、
というのは難しいでしょう。

そして、顧客に商品を理解するために
頑張って努力をしてもらう、
というのも好ましくない状況です。

だからビジネスにおいて、
言語化していく作業というのは
とても重要です。

さて、
上記の4つの切り口のうち、
コンセプトには、意図的に
３つの要素を入れるわかりやすくなります。

費用＋効果＋比較優位

この3要素です。

費用はできるだけ安く。
効果はできるだけ高く。
そして、他と比べて圧倒的に魅力的であること。

これがすぐに取り出せるのであれば、
苦労しませんが、ここを丁寧に言葉にし、
商品・サービスに意識的に
盛り込んでいくと良いでしょう。

例えば、あるファンデーションのコンセプトは、
「ひと塗りするだけで、毛穴が消える、
　石油原料を一切使用しないファンデーション」
だったとします。

（残念ながら20文字以内ではないので、
　素晴らしいコンセプトではありませんが
　まずはここからハードルが低いでしょう。）

ここでいう「効果」は
・毛穴が消える

「費用」とは
・ひと塗りするだけで
です。

費用と効果のギャップも表現されています。

費用というのは単に、
価格のことだけではありません。

その結果を手に入れるのにかかる
手間、お金、時間、苦労など、
切り口は色々あります。

そして可能であれば、
もっとも費用対効果のギャップを高められる要素を
持ってくるようにするのがポイントです。

最後に、「比較優位」では
・石油原料を一切使用しない

比較優位は、他社と自社のギャップです。

さぁどうでしょうか。

自分の商品・サービスを
3つの要素で語ってみてください。

考える前に諦めてはいけません。

言葉にするからこそ、見えてくる世界があります。

提案：あなたの商品・サービスの費用、効果、比較優位を言葉にして、本質を失うことなくできるだけ短い文章で説明してみましょう。

コンセプトは、世界をよくし、
あなたをよくしていくことが大前提のものです。

逆に、そう信じられないものは、
そもそもコンセプトとして間違っています。
自分が信じられないことに、
人を巻き込むことはできません。

熱量があるからこそ、
人を巻き込むことができます。

だからこそ、どれだけ自分に
正直にいられるか？が重要です。

少しでも疑いがあれば、
開発している最中にあるいは、
サービスを提供している最中に、
瓦解していくものです。

長続きしないもの、というのは
そういうものだと僕は認識しています。

だからこそ、時間がある限り、
徹底的に考え抜く必要があります。

とはいえ、いきなりそんな
「間違いのない答え」に辿り着くのも難しい、
というのも現実問題あるでしょう。

だから、この発想は、
コンセプトの中のコンセプトを考え抜く、
というものにして、
今自分がフォーカスできるものの
コンセプトをまずは取り出す、
というところから始めれば良いと思うのです。

人は成長していく生き物です。

身体、感情、思考という順番にサイクルを回し、
適切な手順を踏んだのち、
気づくという工程で一段高い視座にいたり、
悟りに近づいていきます。

コンセプトを取り出し、商品サービスを開発し、
それを提供してまた何かに気づき、
もう一段高いコンセプトを生み出し、
商品サービスを開発する。

そういう工程で、
コンセプトの中のコンセプトを生み出して、
より高い次元の商品サービスを生み出すことが、
この物質世界で世界に対してやっていくことの
１つだと僕は理解しています。

いきなり完璧なものは作れませんが、
完璧なものに近づくための一歩は
今からでも踏み出せるものです。

千里の道は１歩からと言います。

今この瞬間に、世界をよくでき、
自分をよくするようなコンセプトを
ぜひ取り出してみてください。

そして、そのコンセプトが答えとなるような、
クイズとなる商品サービスを開発してみてください。

そして、顧客がそれを言っているシーンや
感じ取ってるシーンを思い浮かべてみるんです。

それがビジョンです。

クイズに答えてもらって、
狙った通りの答えが返ってこないのであれば、
それはクイズの出し方が間違っているかもしれません。

では、そのクイズをどんどん改善すれば、
より辿り着きやすいクイズが作れるはずです。

コンセプトの作り方に関しては、
またどこかで。

今回はこの辺で。
ヒントになれば。

#B-024：数ある競合の中で その商品だけを選ばせられないか？その２

#B-024：数ある競合の中でその商品だけを選ばせられないか？その２